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データから顧客の
選択の論理を読み解く

購買や継続、離反といった結果だけでは、顧客がなぜその選択に至ったのかは十分に見えてきません。生活世界マーケティング研究会は、TEA(複線径路等至性アプローチ)を用いて、選択に至る道筋を読み解き、「選択の論理」を明らかにします。そこから、顧客理解を起点としたマーケティングのあり方を考えています。

Background

背景

アンケートやデジタルデータは、何が起きたかを教えてくれます。しかし、顧客がなぜそれを選んだのか——何を候補と考え、何を基準に判断し、なぜ「これしかない」と感じたのか。その選択の論理には届きません。判断の前提は、購買のはるか以前から、過去の経験の積み重ねの中で形づくられているからです。一方、デプスインタビューで顧客の声を聞いても、本人が自覚していない判断の背景を引き出すのは簡単ではありません。

Challenge

課題

苦労して顧客の定性的な声を拾い上げたとしても、それを事業の価値に変換する段階で、多くの企業が組織的な壁に直面しています。

  • 解釈がばらつく

    「顧客視点」の解釈が、部門や担当者によって揺れる「顧客の視点」と言っても、部門や担当者ごとに受け取り方が違う。同じデータを見ても、読み取る意味がそろわない。
  • 特定の人にしか分からない

    顧客理解が担当者に依存し、再現可能な形で共有されにくい顧客のことを一番よく分かっている人が異動すると、その理解ごと消えてしまう。引き継げる形にするのが難しい。
  • 調査が活かされない

    外部調査の知見が、組織の学習や実装に接続されにくい外部に依頼した調査の結果が、報告書として提出されて終わる。現場の判断や次の施策に活かされない。

根本にあるのは、顧客についての定性的な理解が言葉にしづらいまま、
個人の中にとどまりがちなことです。

当研究会は、
これらの課題に、
生活世界という視点と質的心理学の方法論で応えます。

Perspective

企業と顧客の接点は、顧客の生活のごく一部にすぎません。顧客が「これしかない」と感じるまでの道筋も、選んだ後にブランドへの信頼や愛着が育まれていく道筋も、接点のはるか以前や以後にある生活全体の中で形づくられています。

How

TEA(複線径路等至性アプローチ)は、質的心理学で発展した方法論です。インタビューなどを通じて、顧客がある結果に行き着くまでの道筋をたどり、経験を時間の流れに沿って整理します。そして、過去の選択が分かれた転機でどのような判断があったのかを明らかにします。

Features

顧客の経験を、内面と周囲の両方から、全体像としてつかむ

  • 01心理と文脈をあわせて見る

    顧客自身の考えや気持ちと、その選択に影響を与えた周囲の価値観や環境を、切り離さずに分析します。なぜその選択肢だけが、候補として残ったのかを明らかにします。

  • 02時間の流れの中で捉える

    購買の瞬間だけでなく、そこに至るまでの過去の経験から、将来への展望までを含めて、選択のプロセスを理解します。判断の基準が変わった転機を特定し、なぜ変わったのかを明らかにします。

  • 03言葉にならない理解を、図にする

    複雑に絡み合った顧客の経験を、誰が見ても分かる1枚の図に整理します。担当者の頭の中にしかなかった理解を、チームで共有できる形にします。

Method

  • 新たな価値提案事業機会の発見

    新たな価値提案
    事業機会の発見

  • ブランドの価値提案の明確化

    ブランドの価値提案の
    明確化

  • 離反防止施策の設計

    離反防止施策の設計

結果(購入など)だけを見ても、本質的な理由はわかりません。
大切なのは、そこに至る道筋にある分岐点です。
別の道を選ぶ可能性があったその瞬間に、何が起きていたのかを探ります。

TEAによる分析の可視化(TEM図)

この図は、時間軸上の分岐点で顧客の判断を左右した力のせめぎ合いを整理します。
購入をためらわせる事情と、逆に背中を押したきっかけが、どのように影響したのかをまとめます。
なぜその選択が本人にとって必然だったのか。
その選択の論理を、チームで共有できる形にします。

Insight

同じ製品を選んだ顧客でも、そこに至るまでの道筋は一人ひとり異なります。さらに、選んだ後にブランドとどのような関係を築いていくかも、その道筋の違いによって変わってきます。一本道のカスタマージャーニーは理想のルートを描けますが、顧客がどこで迷い、なぜ他の選択肢を捨てたのかまでは得られません。TEM図は、異なる道筋から同じ結果に至った多様なプロセスと、その道中にある分岐点で何が起きていたかを、1枚の図にまとめます。これによって、購買データや理想のルートからは見えない「なぜその道を選んだのか」という選択の論理が明らかになり、どの分岐点でどのような対応をすべきかを考える根拠が得られます。

Purpose

目的

定性的な顧客理解を、専門家や特定の担当者の中にとどめず、組織として活かせる形にする。
それが当研究会の目指すところです。

顧客理解について、
研究会と対話してみませんか。
日本マーケティング学会のリサーチプロジェクトとして、研究者と企業の実務家が定期的に議論しています。共同研究、事例検討、社内勉強会など、顧客理解をめぐる問いを研究の視点からともに検討していきます。

Contact

小菅 竜介(立命館大学大学院 経営管理研究科 教授)

Email: kosuge[at]fc.ritsumei.ac.jp